はじめに

杉の三大美林のひとつともいわれ、古くから林業が盛んな大分県日田郡中津江村で 私たち「蜂の巣ログハウジング」は1989年から、この杉材を使ったログハウス製作と 手づくり家具づくりを行なっています。

1998年、ここ湯布院に、クラフト館蜂の巣「月點波心」を制作。 「木」をテーマに情報の発信を行なっています。
東京芸術大学黒川哲郎氏の設計による、 高いデザイン性と新工法で国産丸太材の需要の開発と杉材の新たな活路を提示しています

「月點波心」とは

この建物は「月」に見立てられており、金鱗湖を杭州の西湖になぞらえ
て、 白楽天の詩の句「月は波心に點じ一顆(イッカ)の株」から【月點
波心】と命名されています。
十二角形の屋根を切り抜いた天窓は十二夜の月を感じさせ、夜にはそこ
を過ぎる月が トポロジカルな世界を描き出します。 楕円球面のトップラ
イトは人間が無限の天空に与えた経緯儀を両座標に変像し、 杉の丸太を
金属ジョイントで組み上げた構造は、宇宙空間座標を演出し、 一筋一筋
が個性的に重なりあうことで地域性をも表しています。

記号的抽象性と素材の具象性との綾なす構造は、環境と資源の両立させ
る木造の人工の月となり、 水と緑の惑星=宇宙船地球号への思いが込め
られています。

特徴

「月點波心」は製材に較べ強度が高く、 集成材に較べて経済的で素
材感豊かな杉丸太(ログ)96本を使用しています。 6m程度の丸
太材を独特な加工と割裂防止に対処する仕口と金物で組上げる独自
の新しい構法を用いています。 軸組とトラス両用のこの丸太構法を
「スケルトンロング」と称しています。 この構法は住宅店舗から大
規模建築まで様々に魅力的な空間造りが行え、 これまでにも「上津
江村屋根付交流広場」「上津江村保健センター」 「ハウス大分川」
「鯛生金山砂金採取場」などの事例があり、 トラスや軸組部材とし
ての杉の需要開発に新たな活路を拓くものと考えています。

●設計
黒川 哲郎+デザインリーグ
東京芸術大学 美術学部建築科教授

●施行
蜂の巣ログハウジング株式会社
(大分県日田郡中津江村)

●期間
設計期間:1996.8〜1997.3

●構造
スケルトンログ(丸太トラス+軸組)

規模
敷地面積:494.5m2/建築面積:224.6m2
延床面積:298.9m2(90.57坪)
延蔽率:45.4%(許容60%)
容積率:60.4%(許容200%)
階数:地上2階
最高軒高:6.45m/最高高さ:9.41m

施工費
施工費:5000万円/坪単価:55万円

外部仕上げ
屋根:ガルバリウム鋼板―文字葺き
外壁:ガルバリウム鋼板―文字葺き
開口部:木製框引分け戸、木製框開戸
外構:舗床、芝目地枕木舗装





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