コラム:ラグビー・しいたけ・ログハウス その6
6.さいごに

 平成3年の台風の際には、私も大変な被害を被りました。会社から見下ろす下筌ダムは、山から流れ出た何万本という丸太で埋め尽くされたように見えました。その処分にも費用がかかり大変な痛手でした。

 しかし、ころんでもただでは起きません。東京・南青山のスパイラルガーデンにて

「風倒木への仕事」−大分・日田杉を生き返らせる職人の技と心意気−

という展示会を開きました。風に引きちぎられたスギの根株から、家具やログハウスなどを、風倒木とその生きかえったものとしての作品を展示しました。幸いたくさんの方々−丸太の新しい可能性への挑戦に導いていただいた黒川哲郎東京藝術大学教授や、現在も中津江で家具製作を指導して頂いている石塚先生など−と面識を得る機会を得ました。もしかするとあの台風被害がなく、そして展示会「風倒木への仕事」をやっていなかったら、今でももっと小さな世界でやっていただけなのかもしれません。そういう意味で、私にとっても会社にとっても大きな転機となりました。

 風倒木はまた別のプレゼントをしてくれました。下筌ダムの湖畔にその風倒木でポスト&ビーム形式のログハウスを建て、ゲストハウスとして使っております。このログハウスのベランダで湖面に写る月を見ながら、さまざまなお客様・友人と心ゆくまで酒を飲み交わしています。時間の過ごし方が変わったような気がします。


 林業を取り巻く情勢は、依然厳しく、現状維持では衰退という未来しか待っていません。しかし私は「前進あるのみ」と思っています。 また、これまでやってこれたのは、人生の転機・分岐点で助けていただいたすばらしい人たちとの出会いのおかげだと思っています。

 そんな雰囲気が理解されているのか、日田の山奥で、特に広告を出すわけでもないのに、各地の若者が当社に関心を持ち入社してきます。近頃の若い者も捨てたものではありません。目の前に自分の手で出来上がっていく作品が有れば、誰の目も輝き出すのです。


 私は、ゴルフもギャンブルにも興味が有りません。「何が楽しみで生きているのか?」と首をかしげる人もいますが、そういう人たちには、「唯一の楽しみは仕事だ」といっています。

 実際のところ、毎日の生活で、どこまでが仕事で、どこからがオフなのかということを考えたこともありません。ログハウスの営業、挨拶、時には、施工の手伝い、ベランダ施工、そして材料の運搬、足場の解体と、動き回り、夜は、風倒木のログハウスで、木について語らい、指導者と仰ぐ先生方に教えを請い、若者達との意見交流。すべてが楽しく、それ以外のことをする時間はありません。

 木の文化の再生。地元での産業興し。まだまだ夢は大きく膨らんでいます。